陥入爪

陥入爪(かんにゅうそう)とは、爪の端が皮膚に食い込み、痛みや炎症を起こす状態を呼びます。悪化すると赤く腫れて膿んだり、盛り上がった「肉芽(にくが)」ができることもあり、歩行がつらくなるケースもあります。

原因と対応

主な原因には、深爪・きつい靴・爪白癬・爪の形の遺伝的な傾向などがあります。当院では、まず保険診療で以下の対応を行います:

  • 爪の切り方・テーピングの指導
  • 爪白癬や細菌感染の治療
  • 必要に応じて、肉芽への焼灼処置

保険診療のみで改善が難しい場合は、自費診療によるワイヤー矯正を行っています。


医療用巻き爪矯器具(巻き爪マイスター)について

当院では、巻き爪に対して医療用巻き爪矯器具(巻き爪マイスター)を用いた保存的治療を行っています。

巻き爪マイスターは、マルホ株式会社が提供する医療機関専用の巻き爪矯正具です。爪の両端を挟み込むように固定し、適度な引っ張り力を加えることで、巻いてしまった爪を少しずつ平らに近づけていきます。
手術をせずに装着するだけの保存的治療法であり、痛みが少なく日常生活への影響もほとんどありません。

どんな仕組み?

爪の左右に専用のフックを装着し、形状記憶合金の力で両端を外側に引っ張ります。
これにより、徐々に湾曲していた爪のカーブが広がり、皮膚への食い込みを軽減していきます。治療中も入浴や歩行が可能です。

  • 軽度〜中等度の巻き爪にお悩みの方
  • 痛みをともなう巻き爪を早めに改善したい方
  • 手術は避けたい方
  • 再発を繰り返している方

装着から治療完了までの流れ

  1. 診察で巻き爪の状態を確認し、適応を判断します。
  2. 爪の長さや形を整えたうえで、巻き爪マイスターを装着します。
  3. 装着後はそのまま日常生活が可能です。
  4. 1〜2週間後に再診し、効果を確認します。
  5. 数回の装着を経て、症状が改善した段階で治療終了となります。

注意点

  • 爪の長さが極端に短い場合や、爪甲が極端に厚みがある場合は装着できません。
  • フックが取れないよう、装着中は爪への強い衝撃を避けてください。
  • 巻き爪の程度によっては、複数回の装着が必要となります。
  • 定期的な通院によるチェックが必要です。

費用について(自由診療)

  • 巻き爪マイスター装着(1趾):6,000円(税込)
  • 処置料:2,000円(税込)
  • 再装着・調整費:別途
  • 両足や複数趾の場合は費用が加算されます。
  • 定期的な診察での再調整やワイヤーの交換が必要なこともあります。
    ※詳細は診察時にご案内いたします。

ご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。


巻き爪補助外用剤「リネイルゲル」について

当院では、巻き爪矯正具と併用する外用剤「リネイルゲル」を導入しています。

リネイルゲルとは?

リネイルゲルは、マルホ株式会社が開発した医療機関専用の巻き爪矯正補助用の外用製品です。有効成分「アセチルシステイン」が爪のケラチン構造に働きかけ、爪を一時的にやわらかくするため矯正具(プレートやワイヤー)の効果が高まり、矯正期間の短縮や再発予防が可能です。24時間経過後には、爪は自然に再硬化し、矯正された形を維持しやすくなります。

どんな人におすすめ?

  • 矯正具の効果が出にくい方(爪が厚く硬い)
  • より短期間で巻き爪の改善を目指したい方
  • 巻き爪の再発を予防したい方
  • 過去に矯正具のみで効果が薄かった方

使用の流れ

  1. 矯正具を装着した後、医師の判断でリネイルゲルを塗布します。
  2. 爪周囲の皮膚を専用テープで保護し、爪にのみ薬剤を塗布。
  3. そのまま24時間経過させます(患部は濡らさないようにご注意ください)。
  4. 翌日、ご自宅でぬるま湯または水で薬剤を洗い流します。
  5. 爪は再硬化し、矯正された形を維持しやすくなります。

注意点

  • 必ず矯正具との併用が必要です。単独では効果は得られません。
  • 皮膚に直接薬剤が触れないよう、マスキング処理を行いますが、テープが取れないように、洗い流すまでは激しい運動は控えて下さい。
  • ごくまれに爪のもろさや皮膚の刺激(赤み、ひりつき)を生じることがあります。
  • 使用後は医師の指示通り、経過を観察しましょう。

費用について(自由診療)

  • リネイルゲル塗布(初回):8,000円(税込)
  • 矯正具とセットで施術される場合は別途費用がかかります。
  • 治療回数や症状に応じて、必要な使用回数は異なります。詳しくは診察時にご説明いたします。

巻き爪にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。